「学校に行きたくない」と子どもが言い出したとき、保護者の方はどう受け止めればよいのでしょうか。叱るべきか、休ませるべきか、それとも専門機関に相談すべきか——正解がわからないまま、時間だけが過ぎていく。そんな経験をされている方は、決して少なくありません。文部科学省の調査では、不登校の児童生徒数が約30万人に達しているとされており、これはもはや「一部の子どもの問題」ではなく、社会全体で向き合うべき課題といえます。今この状況にある保護者の方に、現状と対策の考え方を整理してお伝えします。
30万人という数字が示す現実
文部科学省が毎年実施している「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、小・中学校における不登校児童生徒数は近年急増しており、2022年度調査では約30万人(29万9,048人)規模に達していることが報告されています(出典:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」2022年度、https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302902.htm)。
この数字が示すのは、クラスに1人以上の割合で不登校のお子さんがいるという現実です。10年前と比較しても増加傾向が続いており、コロナ禍以降はさらにその傾向が加速したとも報じられています。
重要なのは、不登校は「怠け」や「甘え」ではなく、心身のストレス反応として現れるケースが多いという点です。文部科学省の初等中等教育に関する施策でも、不登校を「問題行動と同一視しない」という方針が示されており、無理に登校させることよりも、お子さんの状態に合わせた支援を重視する方向に変化してきています(出典:文部科学省「初等中等教育」関連ページ、https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/index.htm)。
まずは「なぜ30万人もの子どもが学校に行けないのか」という問いに向き合うことが、保護者の方にとっての第一歩といえるでしょう。
文科省が示す不登校対策の方向性
文部科学省は、不登校への対応策として複数の柱を立てています。大きな方針として「学校に戻すことだけがゴールではない」という考え方が根底にあり、お子さん一人ひとりの状況に応じた支援の多様化が推進されています。
具体的には、以下のような支援策が展開されています。
- フリースクールや教育支援センター(適応指導教室)の活用:学校以外の場での学習や社会参加を支援する仕組みです。在籍校との連携が取れていれば、出席扱いになるケースもあるとされています。
- スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置拡充:学校に相談窓口を置くことで、早期発見・早期支援をめざす取り組みです。お子さんだけでなく保護者の方の相談にも対応してもらえる場合があります。
- ICTを活用した学習支援:登校できない状況でも、オンライン授業や学習支援ツールを通じて学びを継続できる環境の整備が進んでいます。自宅にいながら学習機会を確保できるという点で、保護者の方からも注目されている取り組みです。
- 「教育機会確保法」に基づく支援体制の整備:2017年に施行されたこの法律により、不登校のお子さんに対して多様な教育機会を確保することが国の義務として位置づけられました。この法律の存在を知っておくことで、保護者の方が学校や行政に相談する際の根拠の一つにもなります。
こうした方向性は、「学校復帰ありき」から「そのお子さんに合った学び方を一緒に探す」という発想の転換を示しています。保護者の方にとっては、支援の選択肢が以前より広がっているという点を、ぜひ知っておいていただきたいところです。
保護者が今すぐできる三つの行動
では、実際に保護者の方がとるべき行動はどのようなものでしょうか。一般的に効果的とされているアプローチを三つに整理してお伝えします。
まず大切なのは、「お子さんの話をじっくり聞く」ことです。不登校のきっかけは多様で、いじめや人間関係のトラブル、学習のつまずき、あるいは身体症状として現れる場合もあります。「なぜ行かないの」と問い詰めるのではなく、「何かつらいことがあったの?」とお子さんの気持ちに寄り添う姿勢が、信頼関係の土台になるとされています。焦らず、まずは「聞く」側に徹することが重要です。
次に、「相談窓口を早めに使う」ことが大切です。担任の先生や学校のスクールカウンセラーへの相談はもちろん、各都道府県の教育委員会が設ける教育相談センターや、文部科学省が案内する相談機関を活用することが一般的に勧められています。相談することで、学校が提供できる支援メニューを具体的に把握できますし、「一人ではない」という安心感を保護者の方自身が得られるという面もあります。
三つ目は、「学習機会を途切れさせない工夫をする」ことです。学校に行けていない期間が長くなるほど、学習の遅れへの不安からお子さんがさらに追い詰められるケースがあります。NHK高校講座やスタディサプリのようなオンライン学習ツールを活用することで、自宅でも学びを継続できる環境を整えることができます。また、登校状況に配慮しながら学習支援を行う個別指導塾も増えているとされており、お子さんのペースに合わせた選択肢の一つとして検討する価値があります。
不登校と受験・進学の関係を整理する
不登校の経験があると、進学に不利になるのではないかと心配される保護者の方も多いでしょう。これは重要な視点ですが、過度に悲観する必要はないといえます。
高校入試においては、欠席日数が調査書(内申書)に記載されるため、全日制公立高校では選考に影響が出るケースがあります。ただし、通信制高校や定時制高校、あるいは学力試験を重視する一部の私立高校では、欠席日数よりも当日の学力や面接を重視するという方針をとる学校も少なくありません。お子さんの状況に合わせて、複数の進学ルートを視野に入れることが大切です。
大学入試については、高校在学中の欠席日数が直接的な評価対象になることは一般的に少なく、学力試験や総合型選抜(AO入試)での活動実績などが主な選考基準となります。不登校を経験していても、学力をしっかり積み上げることで希望の進路に進んでいる事例は多く存在します。
また、高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)を取得することで、高校に在籍・卒業していなくても大学入試の受験資格を得られる制度も用意されています(出典:文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」、https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/)。進学の選択肢は、思っている以上に広いといえます。
まとめ
不登校のお子さんを抱える保護者の方にとって、毎日が不安の連続であることは想像に難くありません。しかし、約30万人という現状が示すように、同じ状況にいる家庭は全国に数多くあります。一人で抱え込まず、学校・教育委員会・専門機関などの相談窓口を積極的に使うことが、状況を動かす第一歩です。
お子さんの状態に合わせた支援策は確実に広がっています。「学校に戻ること」だけを目標にするのではなく、「そのお子さんが自分らしく学び、生きていける環境を整えること」を軸に置いて、保護者の方自身も焦らず一歩ずつ進んでいただければと思います。まずは今日、学校かかりつけの相談窓口に連絡を取ることから始めてみてはいかがでしょうか。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302902.htm
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/index.htm
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/
https://studysapuri.jp
■ 参考情報
【プロ講師個別指導塾の合格GET】
https://gokakuget.com/
