「もっと勉強しなさい」「なんでこんな点数なの」——こんな言葉を口にしてしまった経験のある保護者の方は、少なくないのではないでしょうか。子どものことを思うからこそ出てしまう言葉が、実は受験生の心を追い詰めてしまうこともあります。応援のつもりが逆効果になってしまうのは、親子ともにつらいことです。今回は、受験生を持つ保護者の方が知っておきたい「言わないほうがよい言葉」と、その代わりに使える声かけのヒントをお伝えします。
なぜ親の言葉が受験生に大きく影響するのか
受験期の子どもにとって、家庭は最も長い時間を過ごす場所です。学校や塾でプレッシャーを受けた後に帰る家が、ほっとできる空間であるかどうかは、勉強の集中力にも直結するといわれています。
プレジデントFamily(2026年5月号)の記事では、「教育熱心な家庭ほど子どもを勉強嫌いにしてしまう接し方をしている」という教育専門家の見解が紹介されています。親の関わり方が熱心であるほど、かえってお子さんのやる気や自己肯定感をそいでしまうケースがあるという指摘は、多くの保護者の方にとって、耳が痛い内容ではないでしょうか。
受験期のストレスは子どもだけのものではなく、保護者の方も不安を抱えながら日々を過ごしています。その不安がつい言葉に出てしまうのは自然なことですが、言葉の受け取り方は大人と子どもでは大きく異なります。親が「励まし」として言ったつもりの言葉が、子どもには「批判」や「プレッシャー」として伝わることは珍しくありません。
子どもへの声かけを少し見直すだけで、家庭の雰囲気はぐっと変わります。まずはどんな言葉が「NG」とされているのかを知ることから始めてみましょう。
避けたい言葉①:比較する発言
「○○ちゃんは毎日ちゃんと勉強しているのに」「お兄ちゃんのときはもっとできてた」——こうした比較の言葉は、受験生がとくに傷つきやすい発言のひとつとされています。
他の人と比べられることで、子どもは「自分はダメなんだ」という否定的な自己イメージを強く持つようになる傾向があります。比較の対象が兄弟でも友人でも、「あの人はできているのに、なぜあなたはできないのか」というメッセージは、意欲の低下と自信の喪失につながりやすいといえます。
特に注意が必要なのは、受験直後や成績が下がっているタイミングです。そのような場面でほかの子どもと比較する言葉は、お子さんの心に深く残ってしまいます。
代わりにどう言えばよいのでしょうか。「以前の自分と比べてどう変わったか」を一緒に振り返る声かけが効果的とされています。「先月よりこの単元が上がってきたね」「毎日机に向かえているね」など、お子さん自身の成長に目を向けてあげることが大切です。子どもが「自分は前進している」と感じられる言葉をかけることが、長期的なモチベーション維持につながるでしょう。
避けたい言葉②:結果だけを責める発言
「なんでこんな点数なの」「もっとできると思ってたのに」——テストの結果が悪かったときについ出てしまいがちな言葉ですが、こうした発言も受験生を深く傷つけます。
結果だけを責められると、子どもは「頑張っても意味がない」「どうせまた怒られる」という思いを持つようになり、挑戦すること自体をやめてしまう場合があります。失敗を恐れるあまり、難しい問題や志望校の判定模試から逃げるようになると、受験本番に向けた実力がつきにくくなってしまいます。
受験において模試や定期テストは「現状を知るためのもの」です。点数が低かったとしても、それは「どこを補強すべきか」を教えてくれる大切なデータといえます。保護者の方が結果に対して感情的に反応することで、そのデータとしての役割が失われてしまいます。
「点数より、どこが分からなかったかを一緒に見てみよう」「今回できなかった問題が分かったのは収穫だね」というように、結果を責めるのではなく、次に活かす姿勢を一緒に持てるような言葉をかけてみてください。お子さんが「失敗しても大丈夫」と思えることが、主体的に学ぶ力を育てます。
避けたい言葉③:プレッシャーを高める発言
「この学校に落ちたらどうするの」「あなたの将来がかかっているんだよ」——心配から出る言葉ですが、こうした表現は受験生のプレッシャーを必要以上に高めてしまいます。
受験生はすでに自分なりに将来への不安を感じています。そこに親から「失敗したときのこと」を意識させる言葉が加わると、緊張感が高まり、本来の実力を発揮しにくくなるという傾向があります。また、「受験に失敗したら親を失望させる」という感覚が強まると、受験そのものに対してネガティブなイメージがついてしまうこともあります。
2027年1月実施予定の大学入学共通テストに向けて、今から基礎を積み上げていくこの時期(2026年5月)は、お子さんが勉強に前向きに取り組めるかどうかの土台を作る大切な時期です。大学入試センターの公式サイト「試験情報」(2026年5月参照)によると、共通テストは令和8年度・令和9年度と継続して実施される予定とされており、長期的な視野で準備を進めることが求められます。この時期こそ、プレッシャーより安心感を与える声かけを意識していただきたいと思います。
「あなたが一生懸命やっていることは分かっているよ」「どんな結果になっても、うちは一緒に考えるから安心して」という言葉が、受験生の心に余裕と自信をもたらすでしょう。
親ができる「最高のサポート」とは
NG発言を避けることと同じくらい大切なのが、受験生にとって安心できる環境を家庭の中に作ることです。
多くの教育専門家が指摘するのは、「親が受験に必死になりすぎないこと」の重要性です。保護者の方が不安や焦りを前面に出すと、その感情がお子さんにも伝わり、家全体がピリピリした雰囲気になってしまいます。逆に、保護者の方が「どんな結果でも大丈夫」という姿勢を持っていると、お子さんは安心して勉強に集中しやすくなるといわれています。
具体的にできることとして、以下のような関わり方が参考になります。
・「今日どうだった?」と結果よりも今日の様子を聞くようにしてください
・勉強の邪魔をしない静かな環境を整えてください
・睡眠・食事など生活面のサポートを優先してください
受験生にとって、親が「見守ってくれている」と感じられることが、精神的な安定につながるとされています。
また、お子さんが話したがっているときはきちんと耳を傾け、「どう思う?」と聞かれたときだけアドバイスをするスタンスが、信頼関係の維持に役立ちます。求められていないアドバイスや誘導的な質問は、かえって「分かってもらえない」という気持ちを強めてしまうことがありますので、注意しておくとよいでしょう。
まとめ
受験期の親の言葉は、お子さんの心に長く残ります。比較する言葉、結果だけを責める言葉、プレッシャーを高める言葉——これらを意識的に避けるだけで、家庭の雰囲気は大きく変わるでしょう。大切なのは「正しいことを言うこと」よりも「子どもが安心して話せる親でいること」です。
2026年5月は、中間テストや模試が続くこの時期でもあり、お子さんが勉強へのモチベーションを維持できるかどうかの分かれ目になることも少なくありません。今日からひとつでも声かけを変えてみることが、受験本番に向けた大きなサポートになるでしょう。保護者の方ご自身も焦らず、ゆったりとした気持ちでお子さんの成長を見守っていただければと思います。
お子さんが「家に帰るとほっとする」と感じられる家庭環境こそが、長い受験期間を乗り越えるうえで最大の力になります。声かけのひと工夫が、お子さんの自信と意欲を支える土台になることを、ぜひ覚えておいてください。
https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/
https://president.jp/family/
■ 参考情報
【プロ講師個別指導塾の合格GET】
https://gokakuget.com/
