「英語の発音が悪いと試験で困る?」と心配している保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、発音の基礎を作るうえで中学生という時期は非常に重要な意味を持っています。文部科学省が2020年度から実施している『中学校学習指導要領(平成29年告示)』では、中学校英語において「音声指導」の重要性がこれまで以上に強調されるようになりました(出典:文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)』)。つまり、発音は「なんとなく覚えるもの」ではなく、学校教育の中できちんと扱われるべきスキルとして位置づけられているのです。しかし現実には、発音の練習をどこから始めればいいのかわからないというお子さんや保護者の方が少なくありません。この記事では、中学生の英語発音を上達させるためのポイントを順を追って解説していきます。
発音が大事な理由 試験だけじゃない本当の意味
英語の発音というと「ネイティブみたいにしゃべれるようになる必要はない」と思う方もいるかもしれません。確かに完璧なネイティブ発音を目指す必要はありませんが、正しい発音の基礎を持っていることには大きなメリットがあります。
まず、発音と「リスニング力」は密接に結びついています。自分が正しく発音できる音は聞き取りやすくなるという傾向があります。反対に、自分が発音できない音は耳でも聞き分けにくいとされています。たとえば「r」と「l」の区別や、「th」の音は、日本語にない音であるため、意識して練習しないと聞き取ることも難しくなりがちです。
次に、英語の定期テストや入試においても、リスニングの比重は年々高まっています。文部科学省の学習指導要領では、4技能(読む・聞く・話す・書く)をバランスよく育てる方針が明確に定められており、音声面の力は評価の対象にもなっています。同省が公表している「外国語教育の充実に関する取組状況」によれば、中学校における英語の「話すこと」「聞くこと」の指導時間は従来より充実する方向で整備が進んでいるとされています(出典:文部科学省「外国語教育の充実に関する取組状況」)。
さらに、中学生という時期は言語習得において柔軟性が高い段階にあたるとされています。高校・大学になってから発音の癖を直すよりも、中学生のうちに正しい音を身につけておくほうが定着しやすいという見解が、英語教育の専門家の間でも広く共有されています。発音学習は「後でいつでもできる」ものではなく、今取り組む価値があるスキルといえるでしょう。
中学生がつまずきやすい発音のポイント
英語には、日本語にはない音がたくさんあります。中学生が特につまずきやすいポイントをいくつか整理しておきましょう。
まず「母音の区別」です。日本語の母音はア・イ・ウ・エ・オの5つですが、英語には20以上の母音があるとされています。たとえば「bed(ベッド)」と「bad(悪い)」、「ship(船)」と「sheep(羊)」など、日本人の耳には似て聞こえる単語が英語では明確に違う音として区別されています。これらを混同すると、意味が伝わらなくなることもあります。
次に「子音の発音」です。「th」「r」「l」「v」「f」といった音は、日本語には存在しないため、特別に練習が必要です。「v」は上の前歯を下唇に軽く当てて出す音で、「b」とは明確に異なります。「th」も舌を軽く歯の間に挟む動作が必要で、最初は意識的に練習しなければ習得しにくい音です。
また「アクセント(強勢)」も見落とされがちなポイントです。英語はどの音節を強く読むかによって単語の意味が変わることがあります。たとえば「record」は名詞として使うときと動詞として使うときでアクセントの位置が異なります。正しいアクセントを覚えることは、スピーキングだけでなくリスニング力の向上にもつながります。
これらのポイントを一度に全部マスターしようとする必要はありません。まずは「自分がどこでつまずいているか」を知ることが、発音上達への近道です。
今日からできる発音練習の方法
発音を上達させるために、特別な教材がなければできないということはありません。日常の中に取り入れやすい練習方法をいくつかご紹介します。
「音読」を習慣にする
発音練習の基本はやはり音読です。ただし、ただ読むだけでは効果が薄いため、意味を理解しながら声に出すことが大切です。教科書の本文を繰り返し音読するだけでも、発音・アクセント・リズムを体に染み込ませることができます。できれば音声データや教師の発音を先に聞き、そのまねをしながら読む「シャドーイング」を取り入れるとさらに効果的です。
動画・音声コンテンツを活用する
NHKが提供するオンライン学習コンテンツ「NHKゴガク」や「NHK高校講座」では、英語の音声・発音に関する学習コンテンツが無料で利用できます。また、スタディサプリなどのオンライン学習サービスでも、発音を意識した英語の授業動画が提供されています。プロの発音を繰り返し聞くことで、正しい音のイメージが自然と身につくでしょう。
スマートフォンの音声認識機能を使う
手軽な発音確認ツールとして、スマートフォンの音声入力機能を活用する方法があります。英語モードで設定した音声入力に向かって単語や文を話し、正しく認識されるかどうかを確かめるだけで、発音のフィードバックを得ることができます。完全に正確な評価ではありませんが、大きくずれた発音に気づくきっかけとして役立ちます。
塾や英会話教室での指導を受ける
独学での発音学習には限界もあります。個別指導塾や英会話教室では、発音の癖を直接指摘してもらえるため、効率よく改善できる場合があります。特に個別指導では、お子さんのつまずきに合わせた指導が受けられるというメリットがあります。一方で、どの指導法が合うかはお子さんによって異なるため、体験授業などを活用して比較検討することをおすすめします。
保護者ができるサポートのしかた
お子さんの発音練習を家庭でどう支えればいいか、迷う保護者の方もいるかもしれません。発音指導の専門家でなくても、できることはあります。
まず「英語を声に出しやすい環境を作る」ことが大切です。音読をしていると恥ずかしいと感じるお子さんもいます。家の中で英語を声に出すことが「普通のこと」として受け入れられる雰囲気があるだけで、練習の継続しやすさが変わってきます。
次に「英語の音に触れる機会を増やす」ことも有効です。英語の音楽や映画を日常的にかける、英語のニュースやポッドキャストを流しておくといった取り組みは、発音を耳から自然に学ぶ下地を作ります。こうした環境の工夫は、保護者の方でも無理なく実践できるものです。
また「失敗を恐れずに話す姿勢を褒める」ことも大切です。発音を間違えることを恐れて声に出さなくなってしまうと、練習量そのものが減ってしまいます。完璧でなくても声に出すことを評価し、チャレンジする姿勢を応援することが、長い目で見た英語力の向上につながるでしょう。家庭での会話の中で「今日学校で習った英語の発音を聞かせて」と声をかけるだけでも、お子さんにとって大きな動機づけになります。
まとめ
2020年度の学習指導要領改訂以降、中学校英語では音声指導の充実が文部科学省によって明確に求められるようになりました。発音は英語の4技能すべてに関わる土台であり、中学生のうちから意識して取り組むことに大きな意味があります。
練習方法は「音読」「音声コンテンツの活用」「音声認識機能の利用」など、手軽に始められるものが多くあります。完璧な発音を一気に目指すのではなく、毎日少しずつ声に出す習慣を積み重ねることが、着実な上達への道といえるでしょう。
保護者の方にできるのは、英語を声に出しやすい環境を作り、お子さんのチャレンジを認めてあげることです。まずは今日から、教科書を1ページ声に出して読むところから始めてみてはいかがでしょうか。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/index.htm
https://www.nhk.or.jp/kokokoza/
https://studysapuri.jp
■ 参考情報
【プロ講師個別指導塾の合格GET】
https://gokakuget.com/
