高校在学中に留学したいけれど、費用が心配で諦めている——そんな保護者の方やお子さんは少なくないのではないでしょうか。実は、高校生を対象とした留学奨学金の制度は国・地方・民間の各レベルで存在しており、しっかり情報収集すれば「費用の壁」を乗り越えられる可能性があります。この記事では、主な奨学金制度の種類から申請のコツまでを整理してお伝えします。
そもそも高校生の留学奨学金とはどんな制度か
奨学金と聞くと、多くの方が大学生向けの「日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金」を思い浮かべるかもしれません。しかし、高校生の海外留学に特化した「給付型」の奨学金も複数存在しています。
給付型とは、返済不要のお金が支給される制度です。一方、貸与型は卒業後に返済が必要なローンに近い仕組みです。高校生の留学奨学金では給付型が多く、「留学費用を後から返さなくてよい」という点が大きなメリットといえます。
文部科学省(https://www.mext.go.jp)では、グローバル人材の育成を重要な教育政策の柱として位置づけており、高校生の海外留学支援に関わる事業をいくつか推進しています。文部科学省「令和5年度 海外留学支援制度(協定派遣)」によると、高校段階での海外留学者数はコロナ禍を経て回復傾向にあり、制度の拡充が進んでいるとされています(文部科学省、2023年度)。こうした国の方針が背景にあるため、近年は公的な高校生留学支援の選択肢が広がりつつある傾向があります。
奨学金の種類はざっくりと、①国・自治体が運営する公的奨学金、②財団・企業・NPOなどが運営する民間奨学金、③留学先の学校や現地機関が提供する奨学金、の3つに分けられます。それぞれ対象条件や金額、選考方法が異なるため、複数を組み合わせて活用するという発想が重要です。
国・自治体が運営する主な公的留学支援制度
高校生の公的留学支援として特に知名度が高いのが、「トビタテ!留学JAPAN」です。文部科学省が推進するこの事業は、民間企業の協賛を受けながら高校生・大学生の海外留学を後押しするプログラムで、給付型の奨学金と留学前後の研修が組み合わされています。
文部科学省が公表している「トビタテ!留学JAPAN」の実績によると、2013年度の事業開始から2023年度末までの累計派遣人数は高校生・大学生合わせて1万人を超えており、採択された高校生は世界70以上の国・地域に留学しています(文部科学省、2024年公表)。高校生コースでは留学期間や渡航先に応じた費用支援が受けられ、単なる語学留学だけでなく「自分でテーマを設定して学ぶ」プロジェクト型の留学が評価される傾向があります。「何をしたいのか」を自分の言葉で語れるかどうかが、選考のカギになるといえます。
また、都道府県や市区町村の教育委員会が独自に設けている留学助成制度もあります。たとえば東京都教育委員会(https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/)や大阪府教育委員会(https://www.pref.osaka.lg.jp/kyosokikaku/)など、自治体によっては国際交流事業の一環として高校生を海外に派遣するプログラムを実施しており、費用の一部または全額が助成されるケースもあります。
お住まいの都道府県や市区町村の教育委員会ウェブサイトを定期的にチェックすることをおすすめします。公募期間が短い場合もあるため、春から夏にかけての時期に情報を集めておくと安心です。
民間財団・企業が提供する留学奨学金
公的制度と並んで注目したいのが、民間財団や企業による留学奨学金です。倍率が高い場合もありますが、給付額が大きく、サポートも手厚い制度が多いという特徴があります。
たとえば、各種財団が提供する高校生向けの海外留学奨学金では、選考に書類審査・面接・小論文などが設けられており、学業成績だけでなく「留学への目的意識」「自己発信力」が重視される傾向があります。英語力の証明(英検やTOEFLのスコアなど)を求められる場合も多く、早めの準備が大切です。
民間奨学金を探す際には、以下のような手順が効率的です。まず、インターネットで「高校生 留学 奨学金 2026」などのキーワードで検索し、財団の公式サイトや教育専門メディアの奨学金まとめ記事を探します。次に、気になる奨学金の公式サイトで募集要項を必ず確認し、対象者・渡航先・留学形式の条件を照合します。そのうえで、学校の進路指導担当の先生に情報を共有し、推薦状が必要かどうかを早めに確認しておくことをおすすめします。
注意点として、民間奨学金の中には特定の渡航先・留学期間・プログラム種別が指定されているものも多くあります。「語学学校への短期留学は対象外」「交換留学プログラムのみ対象」といった条件があるため、募集要項を丁寧に読み込むことが大切です。また、同一財団でも年度によって募集条件が変わることがあるため、前年度の情報だけに頼らず、最新の公式情報を確認するようにしてください。
申請で差がつく3つのポイント
奨学金の書類や面接で「選ばれる」ために、特に意識してほしいポイントが3つあります。
1点目は「なぜ留学するのか、留学して何を達成したいのか」を具体的に言語化することです。「英語が話せるようになりたい」という目標は漠然としています。「将来△△の分野で働くために、○○国の教育現場を直接見て学びたい」のように、留学後のビジョンまで描けている志望理由が評価される傾向があります。文部科学省が推進する「トビタテ!留学JAPAN」でも、目的意識の明確さが選考の重要な判断基準となっていることが公式資料で示されています(文部科学省、2024年)。
2点目は「英語力の客観的な証明」です。英検準2級・2級、TOEFLスコアなどの資格が出願要件になる奨学金も多くあります。2026年5月の今から準備を始めれば、2026年秋から冬の公募シーズンに間に合わせることができます。英語力は短期間では大きく伸びにくいため、日頃の学習習慣が直接結果に反映されます。英検やTOEFLは複数回受験が可能なため、早めに受験してスコアを把握しておくことをおすすめします。
3点目は「情報収集と出願スケジュールの管理」です。奨学金によっては公募開始から締切まで1か月程度しかない場合もあります。複数の奨学金を同時に狙う場合は、それぞれの締切・必要書類・推薦状の有無をリスト化して管理することをおすすめします。学校の担任の先生や進路指導担当の先生にも早めに相談しておくと、推薦状の作成などでスムーズに動いてもらえます。また、学校によっては留学経験のある卒業生の情報を保有している場合もあるため、OB・OG情報も積極的に集めてみてください。
まとめ
高校生が留学奨学金を活用するには、「公的制度」「民間財団」「自治体独自の支援」の3つを組み合わせて情報収集することが出発点です。文部科学省が推進する「トビタテ!留学JAPAN」のような国のプログラムや、各都道府県教育委員会の独自事業など、選択肢は思っているよりも広がっています。
2026年5月の今は、夏以降の公募シーズンに向けた準備を始める絶好のタイミングです。英語力の強化と並行しながら、「留学して何をしたいか」を言葉にしてみることが最初の一歩になります。お子さんと一緒に情報を集め、まずは1つの奨学金の募集要項を読んでみるところから始めてみてはいかがでしょうか。奨学金の採択は競争がある一方、毎年多くの高校生が新たなチャンスをつかんでいます。諦めずに情報収集を続けることが、留学実現への近道といえます。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/index.htm
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/
https://www.pref.osaka.lg.jp/kyosokikaku/
■ 参考情報
【プロ講師個別指導塾の合格GET】
https://gokakuget.com/
