お子さんに本を読んでほしいと思っているのに、どれを選べばいいのかわからず、結局買わずじまい……そんな経験はないでしょうか。実は、本選びで大切なのは「面白そうかどうか」だけでなく、「今の学年に合っているかどうか」という視点です。学年ごとに読む力や興味の幅は大きく変わるため、その段階に合った本を渡すことが、読書習慣を育てる近道になるといえます。
小学生と読書の現状――読書離れは本当に進んでいるのか
「最近の子どもは本を読まない」という声をよく耳にします。実際のところはどうなのでしょうか。
教育情報サイト「ReseMom(リセマム)」が報じた調査によると、「読書離れも外出・体験は回復」という傾向が小中学生2,400人を対象にした3年間の追跡調査から見えてきたとされています(ReseMom掲載情報、取得元:https://resemom.jp/)。つまり、読書量が減っている一方で、子どもたちが体験活動に向かう動きも出ているという傾向が示されているわけです。なお、記事執筆時点でのReseMom掲載情報をもとに引用していますので、最新の調査詳細は公式サイトにてご確認ください。
この調査が示すのは、子どもが「本を嫌いになった」のではなく、「本以外の選択肢が増えた」ということかもしれません。だからこそ、本との出合いをデザインしてあげることが保護者の方の役割として重要になってきます。そのために欠かせないのが、「学年に合った一冊」を選ぶという視点です。
文部科学省も初等中等教育の中で読書活動の推進を位置づけており(文部科学省「初等中等教育」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/index.htm)、学校教育の場でも読書環境の整備が継続的に求められています。学校図書館の整備や朝の読書活動など、公的な取り組みが続いているのも、読書が子どもの成長に果たす役割が重視されているからといえるでしょう。
低学年(小学1・2年生):声に出して楽しめる本を
小学校に入学したばかりの1・2年生は、ひらがな・カタカナを覚え、少しずつ文字を読む楽しさを知り始める時期です。この段階では、「一人で黙読できる本」よりも、「声に出して読みたくなる本」や「絵の力を借りながら楽しめる本」が向いているといえるでしょう。
おすすめのジャンルとして、まず絵と文章がセットになった絵本・絵多め読み物が挙げられます。文字が読めない部分は絵で補いながら読み進めることができるため、文字への抵抗感なく物語を楽しめるのが大きな利点です。物語のテンポが速く、「続きが気になる」感覚を育てやすいのも特徴といえます。
次に、「かいけつゾロリ」シリーズのような、ユーモアがあってスラスラ読めるシリーズ本も低学年には人気があります。同じキャラクターが繰り返し登場するシリーズ本は、「次も読みたい」という意欲につながりやすく、読書習慣の入口として機能しやすいといえます。表紙のイラストが明るく、手に取りやすい雰囲気も低学年のお子さんには大切なポイントです。
また、この時期は「読み聞かせ」の効果が特に高い時期でもあります。保護者の方が一緒に声に出して読むことで、語彙力や文章のリズム感を自然に身につけることができます。長さは1冊10分以内を目安にすると、集中が続きやすいでしょう。毎晩の習慣として取り入れると、就寝前のルーティンとしても定着しやすくなります。
中学年(小学3・4年生):物語の世界に入り込める本を
小学3・4年生になると、文章を読む速度が上がり、挿し絵が少なくても楽しめるようになってきます。物語の世界観を頭の中でイメージする力がついてくる時期で、読書体験の深みが増してきます。
この段階では、「長編ファンタジー・冒険もの」が非常に有効です。「ハリー・ポッター」シリーズへの入口として、まず日本の児童向けファンタジーから始めるのもよいでしょう。「エルマーのぼうけん」「ふしぎな木の実の料理店」「霧のむこうのふしぎな町」などは、中学年のお子さんが夢中になりやすいといわれています。
また、「伝記・偉人本」も中学年でぐっと読みやすくなります。子ども向けに書かれた偉人の伝記は、社会科の学習内容とも重なる部分が多く、学校の勉強への興味関心を広げるきっかけになることがあります。「偉人がどんな困難を乗り越えたのか」という物語性が、読む意欲を引き出してくれます。
さらに、この時期から「科学読み物」「図鑑」も本格的に楽しめるようになります。昆虫・宇宙・恐竜といったお子さんの好きなテーマの本を一冊そろえると、自分から手に取る習慣につながりやすいでしょう。図鑑は読み物として読むだけでなく、調べ学習のツールとしても役立てられる点が魅力です。
「面白い」と感じた本と同じシリーズ・同じ著者の本を次に渡す、という方法も中学年には効果的です。好きな作家が見つかると、読書が「自分ごと」になっていきます。図書館の司書の方に「これが好きなんですが、似たものはありますか?」と相談してみるのも、新たな一冊との出合いに役立つでしょう。
高学年(小学5・6年生):考えることを楽しめる本を
小学5・6年生になると、読書の質が変わってきます。登場人物の心情を深く読み取ったり、「この話が伝えたいことは何だろう」と考えたりできるようになってきます。中学受験を視野に入れているお子さんにとっては、読解力・語彙力を育てる意味でも読書の重要性が増す時期です。
高学年には、まず「社会問題・環境・いのちをテーマにした作品」が向いているといえます。「君たちはどう生きるか」(吉野源三郎著)は、長く読み継がれてきた名作で、高学年から読み始めるお子さんも多い一冊です。難しい言葉もありますが、考える力を鍛えるうえで非常に価値のある作品といえるでしょう。
次に、「ミステリー・推理小説(児童向け)」もこの時期に向いています。「名探偵夢水清志郎」シリーズや「少年探偵団」シリーズなど、論理的に考えながら読み進めるジャンルは、思考力や推論力を自然に育てます。中学受験の国語で求められる「根拠を持って答える力」と相性がよいという見方もあります。
また、「古典の現代語訳・古典入門書」も高学年から読み始めると、中学校以降の学習に役立つことがあります。「子ども向け源氏物語」「まんが日本の古典」などは、難しい原文に慣れる前の入口として有効です。高学年のうちから古典の世界に触れておくことで、中学・高校の国語学習をスムーズに進める素地が育まれる可能性があります。
読書量と学力の関係については、すべてのお子さんに同じ効果があるとはいえませんが、高学年での読書習慣は語彙力・読解力の底上げに関係するという傾向が一般的に指摘されています。焦らず、まずお子さんが「面白い」と感じるジャンルの本を一冊探すことが、長続きする読書習慣への第一歩になるでしょう。
まとめ
学年別に本を選ぶ視点を持つだけで、お子さんが本を手に取る可能性は大きく変わってくるでしょう。低学年では「声に出して楽しめる本」、中学年では「物語世界に入り込める本」、高学年では「考えることを楽しめる本」が、それぞれの発達段階に合った選び方の目安になります。
大切なのは、無理に「いい本」を与えようとするのではなく、まずお子さんが「続きを読みたい」と思える一冊を見つけることです。ReseMomが報じた調査が示すように、読書環境は変化していますが、「好きな本との出合い」は今も昔も読書習慣の出発点です。文部科学省が読書活動の推進を教育施策として位置づけていることからも、読書が子どもの成長にとって重要な活動であることは広く認識されています。
まずはお子さんの今の学年と興味を軸に、一冊選んでみることから始めてみてはいかがでしょうか。
https://resemom.jp/
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/index.htm
■ 参考情報
【プロ講師個別指導塾の合格GET】
https://gokakuget.com/
