「読書感想文が書けない」というお子さんのお悩みは、夏休みや冬休みになると毎年多くの保護者の方から聞こえてきます。実は書けない原因の多くは、「どこから手をつければいいかわからない」という構成の問題にあります。書き方のステップさえ身につけてしまえば、読書感想文はぐっとラクに仕上げられるようになるでしょう。
なぜ読書感想文が苦手な子が多いのか
読書感想文が苦手だと感じる小学生の多くは、「感想を書いて」と言われても何を書けばよいのかがわからないという状態に陥っています。本のあらすじをそのまま書いてしまったり、「おもしろかったです」の一文で止まってしまったりするのは、感想の出し方を知らないからです。
これは決してお子さんの国語力が低いわけではありません。感想文の書き方を学校で丁寧に教わる機会が少ないという背景もあります。文部科学省の学習指導要領では、「読書を通じて考えをもち、それを文章で表現する力」を育てることが目標とされていますが、具体的な手順は各学校・各先生に委ねられているのが実情です(出典:文部科学省 初等中等教育 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/index.htm)。
さらに、読書習慣の低下という背景も見逃せません。全国学校図書館協議会が毎年実施している「学校読書調査」(2023年度)によると、小学生の1か月あたりの平均読書冊数はここ数年で横ばいないしやや減少傾向にあり、読書に親しむ時間そのものが減っているという傾向が見られます。本を読む習慣が薄れると、語彙も減り、感想を言語化することがさらに難しくなるという悪循環が生じやすくなります。だからこそ、感想文の「書き方の型」を先に教えることがとても大切だといえます。
読書感想文の基本構成を覚えよう
読書感想文が上手に書けない子の多くは、「構成」を知りません。いきなり原稿用紙に向かうのではなく、まず「何をどの順番で書くか」を決めてしまいましょう。
小学生の読書感想文では、次の4つのブロックで考えると整理しやすくなります。
- 書き出し(はじめ)
読んだきっかけや、本のタイトルを見て感じたことを書きます。「先生に勧められた」「表紙が気になった」といった身近な理由で構いません。読者(先生や読み手)が「どんな子がこの感想文を書いたのか」をイメージできる書き出しにすると、読みやすい文章になります。
- あらすじ(中身の紹介)
ここはなるべく短く、1〜2段落にまとめることが大切です。あらすじを長々と書くと感想が少なくなってしまいます。「どんな話か」を一言で説明するイメージで書きましょう。
- 一番心に残った場面と自分の感想(メイン)
感想文の中心はここです。「この場面を読んで、自分はどう感じたか」「なぜそう感じたのか」「自分だったらどうするか」という3つの問いに答える形で書くと、感想がしっかり深まります。たとえば主人公が友だちを助ける場面を読んで「すごいと思った」だけで終わるのではなく、「自分も似たような状況になったことがあり、あのとき〇〇できれば良かったと気づいた」というように、自分の体験と結びつけることが重要です。
- 結び(まとめ)
この本を読んで考えが変わったこと、これから実践したいこと、次に読んでみたい本などを書きます。「読んで良かった」という感情を、具体的な言葉で表現するように意識しましょう。
感想を深める「3つの問いかけ」
読書感想文を書く前に、お子さんに以下の3つの問いかけをしてみてください。保護者の方が一緒に話し合ってあげることで、頭の中が整理されて書きやすくなります。
まず「一番印象に残った場面はどこ?」と聞いてみましょう。本全体を思い返すきっかけになり、書くべき材料が見つかります。
次に「どうしてその場面が印象に残ったの?」と深掘りします。「かわいそうだったから」「かっこよかったから」といった答えが出てきたら、「どんなところが?」とさらに一歩踏み込んでみてください。感想が具体的になっていきます。
最後に「自分ならどうする?」と問いかけます。登場人物の行動に対して「自分だったら〇〇した」「自分と似た経験がある」という気づきが、感想文の「オリジナリティ」になります。この問いかけが、単なるあらすじを超えた感想文を生み出す鍵になるといえるでしょう。
なお、文部科学省が策定した「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」(第五次計画・2023年)においても、「読書活動と言語活動の連携」が重要視されており、子どもが本を読んで感じたことを言葉にする力を育む取り組みが全国の学校・家庭に求められています。保護者の方が日常会話の中でこうした問いかけを行うことは、この方針とも方向性が一致する取り組みといえます。
低学年・高学年で変わる書き方のポイント
小学校1〜2年生の低学年では、文字数よりも「自分の気持ちを素直に書く」ことを優先しましょう。「うれしかった」「びっくりした」「かなしかった」といった感情の言葉を使いながら、好きな場面を一つ選んで書くだけでも十分な感想文になります。長さよりも「自分の言葉で書けているか」が評価のポイントになります。
小学校3〜4年生になると、「なぜそう感じたか」という理由を一文加えるだけで、一気に感想の深さが増します。「主人公が勇気を出したところが好きでした。なぜなら、自分も怖いことがあってもがんばりたいと思うからです」という形を意識してみてください。このように「気持ち+理由」のセットで書く習慣が身につくと、高学年になってからの作文力にもつながっていきます。
小学校5〜6年生の高学年では、作者が伝えたいことや、社会・時代的な背景を考察する視点も加えると、より充実した感想文になります。「この物語を書いた作者は〇〇を伝えたかったのではないか」という仮説を立てながら読むことで、自然と感想の幅が広がっていくでしょう。また、高学年の場合は「自分の意見と反対の見方もあるかもしれない」という視点を盛り込むと、思考の深みが増した感想文になるという考え方もあります。こうした多角的な視点を取り入れることで、先生や審査員の印象に残りやすい作品になっていくでしょう。
まとめ
読書感想文が苦手なお子さんの多くは、書き方の「型」を知らないだけです。「書き出し→あらすじ→心に残った場面と感想→まとめ」という4つのブロックを覚え、感想を深める3つの問いかけを活用するだけで、原稿用紙が埋まらないという悩みはぐっと減っていくはずです。
保護者の方は、お子さんが書く前に「どの場面が好きだった?」と気軽に話しかけてみてください。会話を通じて感想を言語化する練習をするだけで、文章に起こすハードルが大きく下がります。今年の夏休みは、ぜひ一緒に取り組んでみてはいかがでしょうか。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/index.htm
https://www.mext.go.jp/content/20230428-mxt_chisui02-000029253_1.pdf
https://www.j-sla.or.jp/research/reading.html
■ 参考情報
【プロ講師個別指導塾の合格GET】
https://gokakuget.com/
