発達障害のある受験生が使える合理的配慮の申請方法

発達障害のある受験生が使える合理的配慮の申請方法

お子さんが発達障害の診断を受けているけれど、大学受験で不利になってしまうのではないかと不安を感じている保護者の方は多いのではないでしょうか。実は、大学入試には「合理的配慮」という制度があり、発達障害のある受験生が自分の力を正当に発揮できるよう、さまざまなサポートを受けることができます。どのような配慮が受けられるのか、どう申請すればよいのかを順に説明していきます。

目次

合理的配慮とは何か

重要ポイント

重要ポイント

  • 合理的配慮は大学入試で法的に認められた権利
  • 申請には医師の診断書と詳細な配慮内容が必要
  • 大学により配慮内容が異なるため事前確認が重要
  • 申請期限は試験の3~6ヶ月前が一般的
  • 高校での配慮実績があると申請がスムーズ

学習ステップ

STEP 1
診断書の取得

専門医を受診し、発達障害の診断書を取得する(半年以内が望ましい)

STEP 2
志望校の配慮内容を確認

各大学のウェブサイトや入試要項で提供可能な配慮を事前にリサーチする

STEP 3
高校との相談

進路指導教員と配慮申請の必要書類や手続き方法について相談する

STEP 4
配慮申請書類の準備

診断書、配慮申請書、高校での配慮実績資料などを期限までに準備する

STEP 5
大学への申請・面談

期限内に書類提出し、必要に応じて大学との面談で具体的な配慮を調整する

注意事項

  • 申請期限厳守。締切は大学により異なる
  • すべての配慮が認められるとは限らない
  • 共通テストと個別試験で別々の申請が必要

「合理的配慮」とは、障害のある人が障害のない人と同じ条件で活動に参加できるよう、必要な調整・変更を行うことをいいます。2016年に施行された「障害者差別解消法」によって、教育機関を含むすべての機関に対し、合理的な範囲での配慮が義務づけられるようになりました(国公立機関は義務、私立機関は努力義務。2024年の法改正により私立機関も義務化されました)。

大学受験の文脈で言い換えると、「試験の内容そのものは変えないけれど、受験生が実力を発揮できる環境を整える」ということです。たとえば、読み書きに困難がある場合に試験時間を延長する、集中しにくい環境が苦手な場合に別室で受験できるようにするといった対応が、これにあたります。

発達障害には、ADHD(注意欠如・多動症)・ASD(自閉スペクトラム症)・LD(学習障害)などが含まれます。読み書きの速さ、集中力の持続、周囲の音への敏感さなど、困りごとの内容は人によって大きく異なるため、配慮の内容も個別に決定されます。「うちの子の困りごとは当てはまらないのでは」と感じる場合でも、まず相談してみることが大切です。

大学入学共通テストでの合理的配慮

大学入学共通テスト(以下、共通テスト)では、大学入試センターが合理的配慮の申請を受け付けています。大学入試センターの公式情報(https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/)によると、令和9年度(2027年度)試験に向けた試験情報がすでに公開されており、障害のある受験生への対応についても受験案内に記載されています。

共通テストで認められる配慮の例としては、次のようなものがあります。

  1. 試験時間の延長(通常の1.3倍や1.5倍など)
  2. 別室受験(周囲の物音が気になる場合などに対応)
  3. 問題用紙の拡大(視覚処理に困難がある場合)
  4. チェック解答の許可(マークシートの塗りつぶしが困難な場合)
  5. イヤホン不適合措置(リスニングで通常の機器が使えない場合)

発達障害の場合、特に「試験時間の延長」「別室受験」「チェック解答」が活用されるケースが多いとされています。

申請の流れは、「出願前に必要書類を揃えて申請する」という手順になります。医師の診断書や、学校が作成した個別の支援計画書などが必要書類として求められるのが一般的です。申請期間は出願時期と重なることが多く、準備には相当の時間がかかります。2027年1月実施の共通テストに向けて受験を考えているお子さんがいる場合、2026年夏ごろから準備を始めると余裕が生まれるでしょう。

各大学の個別入試での配慮申請

共通テストとは別に、各大学が実施する個別試験(二次試験・一般入試・総合型選抜など)でも、独自の合理的配慮が設けられている大学が増えています。

各大学の対応は機関によって異なりますが、申請の際に共通して求められることが多い書類としては、以下のものが挙げられます。

  1. 医師による診断書(発達障害の診断が明記されたもの)
  2. 障害者手帳(手帳の取得が申請の必須条件ではない大学もあります)
  3. 学校の担任や特別支援担当教員が作成した意見書・支援計画書
  4. 受験生本人が希望する配慮の内容を記した申請書

重要なのは、「手帳がないと申請できない」という誤解をしないことです。発達障害の場合、障害者手帳を取得していなくても、医師の診断書があれば申請を受け付ける大学は少なくありません。ただし、大学によって基準が異なるため、志望校のホームページを直接確認するか、アドミッションオフィス(入試窓口)に問い合わせることをおすすめします。

また、総合型選抜(AO入試)や学校推薦型選抜でも合理的配慮の申請は可能です。早めの出願時期と重なることが多い分、より早い段階から準備が必要になります。

高校在学中にしておきたい準備

大学受験での合理的配慮をスムーズに受けるためには、高校在学中からの準備が非常に重要です。いざ申請しようとしたときに「診断書がない」「学校側との連携が不十分だった」といった状況になると、手続きが間に合わないこともあります。

まず取り組みたいのは、「医療機関との連携」です。発達障害の診断を受けていても、定期的な受診が途絶えていると最新の診断書を取得するのに時間がかかることがあります。高2・高3の段階で主治医に「大学受験での合理的配慮申請に使う診断書が必要になる可能性がある」と伝えておくと、準備がスムーズになります。

次に重要なのが、「高校側との連携」です。特別支援コーディネーターや担任の先生と、必要な配慮の内容や書類作成についてあらかじめ相談しておくことが大切です。学校側が発行する意見書や支援計画書は、作成に時間がかかる場合もあるため、余裕を持って依頼することをおすすめします。

また、「自分がどんな配慮を必要としているかを言語化する」練習も大切です。申請書には「どのような困りごとがあり、どのような配慮が必要か」を具体的に記載する必要があります。日頃から自分の特性と向き合い、困っていることを整理しておくと、申請書の作成もスムーズに進むでしょう。

まとめ

発達障害のある受験生が大学受験で合理的配慮を受けるためには、「制度を知る」「早めに準備する」「必要書類を揃える」という3つのステップが欠かせません。大学入試センターの公式情報によると、共通テストでは令和9年度(2027年度)に向けた情報がすでに公開されており、障害のある受験生への配慮申請の仕組みも整備されています。

2026年6月の現在、2027年1月の共通テストを見据えた準備を始めるのに適した時期です。まずは大学入試センターの公式サイトで最新の「受験案内」を確認し、志望大学のアドミッションオフィスへの問い合わせも早めに行いましょう。「合理的配慮を受けることは特別なことではなく、実力を正当に発揮するための権利です」という視点で、保護者の方もお子さんを積極的に後押ししていただければと思います。

https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/
https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/
https://www.mext.go.jp

■ 参考情報
【プロ講師個別指導塾の合格GET】
https://gokakuget.com/

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