「うちの子は発達障害があるけれど、普通の公立高校に進学できるだろうか」「進学できたとして、高校でもちゃんとサポートしてもらえるのだろうか」——そんな不安を抱えている保護者の方は、決して少なくないのではないでしょうか。実は、公立高校における発達障害のある生徒への支援体制は、ここ数年で大きく変化しています。制度の仕組みを正しく知ることが、お子さんにとって最善の環境を選ぶ第一歩になります。
そもそも「発達障害への支援」とはどういうことか
発達障害とは、ADHD(注意欠如・多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、LD(学習障害)などを総称したものです。知的な遅れを伴わないケースも多く、一見すると「普通の生徒」に見えることがあります。だからこそ、周囲に理解されにくく、本人が長年「なぜ自分だけうまくできないのか」と悩んできたというケースが少なくありません。
公立高校における支援とは、大きく分けて「合理的配慮」と「特別支援教育」の二つの枠組みで考えることができます。
「合理的配慮」とは、障害のある生徒が他の生徒と同じように教育を受けられるよう、学校側が無理のない範囲で環境を整えることをいいます。たとえば、テスト時間の延長・別室受験の許可・板書のコピー提供・口頭での説明を増やすといった工夫がこれにあたります。
「特別支援教育」とは、障害の特性に応じた個別の指導や支援計画を策定し、組織的に取り組むことです。文部科学省は、すべての学校において特別支援教育を推進する方針を掲げており、公立高校においても対象となります(出典:文部科学省 初等中等教育(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/index.htm)、2026年5月時点)。
制度としては整いつつありますが、実際の運用は学校や自治体によって大きく異なるというのが現状です。
公立高校で受けられる具体的な支援の内容
では、実際に公立高校でどのような支援を受けられるのかを、具体的に見ていきましょう。
まず「通級による指導」があります。これは、通常の授業に在籍しながら、週に数時間、別室で専門的な個別指導を受ける仕組みです。もともと小学校・中学校を中心に広まってきた制度ですが、2018年度から高等学校でも制度化されました。コミュニケーションの取り方・感情のコントロール・学習方法のコツなど、障害の特性に合わせた内容で指導が行われます。
文部科学省「特別支援教育に関する調査」(2023年度)によると、高等学校における通級による指導の実施校数は全国で1,000校を超えており、2018年度の制度化以来、年々増加傾向にあるとされています(出典:文部科学省 特別支援教育 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main.htm、2026年5月時点)。一方で、全国の公立高校数と比較するとまだ一部にとどまっているのも事実であり、通える学校かどうかを事前に確認することが重要です。
次に「個別の教育支援計画・個別の指導計画」があります。これは、生徒一人ひとりの状況に合わせて、学校・保護者・専門機関が連携して支援の方針を文書化したものです。高校進学後も、中学校で作成したこの計画を引き継いでもらえるよう、中学の担任や支援担当に相談しておくとスムーズに進むことが多いとされています。
さらに、担任や特別支援教育コーディネーターとの定期的な面談も重要なサポートの一つです。「特別支援教育コーディネーター」とは、校内の支援体制を調整する役割を担う教員のことで、文部科学省の方針により、すべての学校に置くことが求められています。この教員が窓口となり、保護者や外部の専門機関との橋渡しをしてくれます。
入試段階での「合理的配慮」はどう申請するか
公立高校の受験においても、発達障害のある受験生が申請できる配慮措置があります。たとえば、試験時間の延長・別室受験・問題用紙の拡大・読み上げ対応などが代表的なものです。
ただし、これらは「申請すれば自動的に認められる」ものではありません。多くの都道府県では、申請書類の提出・医師の診断書・中学校の状況報告書などが必要とされており、出願前に都道府県の教育委員会に問い合わせて手続きを確認することが欠かせません。
東京都教育委員会の場合、公立高校入試での特別措置申請に関する情報を公式サイトで公開しています(出典:東京都教育委員会(https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/)、2026年5月時点)。お住まいの都道府県の教育委員会のサイトを確認し、早めに情報収集をすることをおすすめします。
申請の締め切りは一般的に出願前数週間に設定されていることが多いため、早めの準備が必要です。中学3年生の夏頃から動き始めることで、余裕を持って準備できるでしょう。
支援の格差という現実と、保護者ができること
制度として整ってきた一方で、「公立高校の発達障害支援は学校によって格差が大きい」という指摘は、教育関係者の間で広く認識されています。通級指導を実施しているかどうか、特別支援教育コーディネーターがどれほど機能しているか、担任や教科担当が発達障害に関する理解をどれだけ持っているか——これらは学校ごとに大きく異なります。
では、保護者の方はどう動けばよいのでしょうか。
一つ目は「学校見学・個別相談の積極的な活用」です。オープンスクールや学校説明会の際に、「発達障害のある生徒への支援体制を教えてください」と直接聞いてみることをおすすめします。答えの内容だけでなく、どれだけ丁寧に説明してくれるかも、学校の姿勢を見極めるポイントになります。
二つ目は「中学校と高校の情報連携を依頼すること」です。入学前から特別支援教育コーディネーター同士が情報共有できるよう、保護者からの働きかけが有効な場合があります。
三つ目は「地域の発達障害者支援センターを活用すること」です。各都道府県に設置されているこの機関は、学校や保護者への相談支援を無料で行っています。学校への働きかけ方や制度の使い方についてもアドバイスを受けることができます(出典:発達障害者支援センター・一覧 https://www.rehab.go.jp/ddis/action/center/、2026年5月時点)。
まとめ
公立高校における発達障害への支援は、通級指導・合理的配慮・個別支援計画など、制度として整いつつあります。しかし、その運用の実態は学校や自治体によってばらつきがあるというのが現状です。お子さんに合った環境を見つけるためには、制度の仕組みを理解したうえで、入学前から積極的に情報収集と相談を重ねることが大切です。「うちの子には無理かもしれない」と可能性を狭める前に、まずは学校の担当者や地域の支援機関に話を聞いてみてください。一歩踏み出すことで、見えてくる選択肢があるはずです。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/index.htm
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main.htm
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/
https://www.rehab.go.jp/ddis/action/center/
■ 参考情報
【プロ講師個別指導塾の合格GET】
https://gokakuget.com/
