「うちの子は支援級に在籍しているけれど、内申点はどうつくのだろう?」と気になっている保護者の方は多いのではないでしょうか。高校受験を視野に入れ始めると、支援級と内申点の関係は特に気になるテーマです。実は、この仕組みは全国一律ではなく、都道府県や学校によって対応が異なる部分が多くあります。正確に理解しておくことが、お子さんの進路選択において大きな力になります。
支援級(特別支援学級)とは何か
まず、「支援級」という言葉の意味を整理しておきましょう。支援級とは、正式には「特別支援学級」のことで、知的障害・自閉症・情緒障害・肢体不自由・弱視・難聴などの障害のある子どもが、少人数でより手厚い指導を受けるために設置された学級です。通常の学級(以下、通常級)に在籍しながら一部の授業だけ支援級で受ける形と、主として支援級に在籍する形とがあります。
文部科学省『学校基本調査』(2023年度)によると、特別支援学級の在籍者数は全国で約36万7千人に上り、10年前と比較して大幅に増加している傾向が続いています。この統計からも、支援級を利用するお子さんがいかに多くなっているかがわかります。それだけに、「支援級に在籍していると高校受験のときに不利になるのでは?」という不安を持つ保護者の方も増えているといえるでしょう。
内申点とはどのように決まるのか
内申点(調査書点ともいいます)とは、中学校での学習成績や生活態度などをもとに中学校が作成する「調査書」に記載される評価のことです。多くの都道府県で、高校入試の合否判定に使用されています。
通常は、各教科の「観点別評価」(知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度の3観点)をもとに5段階の評定がつき、その合計点が内申点として扱われます。たとえば9教科すべてで評定がつく場合、最高は45点(5×9教科)となります。
ここで大切なのは、「どの授業を受けたか」「どのカリキュラムに基づいて学んだか」によって、評価の付け方が変わってくる場合があるという点です。支援級では、個々の子どもの実態に合わせた「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」に基づいて指導が行われるため、通常の学習指導要領とは異なるカリキュラムで学ぶことがあります。これが内申点の算出方法に影響する可能性があるわけです。
支援級在籍者の内申点はどう扱われるのか
支援級に在籍している場合の内申点の扱いは、大きく次のような観点で整理できます。
まず、「通常の教育課程に準じた学習をしているかどうか」が重要なポイントです。支援級に在籍していても、各教科の授業を通常級と同じ学習指導要領に沿って受けている場合は、通常級の生徒と同様の方法で評定がつけられる傾向があります。一方、知的障害の支援学級など、通常の教育課程ではなく「特別支援学校の学習指導要領」に準じた指導を受けている場合は、通常の5段階評定ではなく「個別の評価」として記載されることがあります。
次に、都道府県・学校ごとの対応の違いという点があります。文部科学省は特別支援教育に関する基本的な方針を示していますが(文部科学省 初等中等教育 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/index.htm)、内申点の具体的な記載方法や高校入試での扱いは各都道府県の教育委員会が定めています。そのため、「A県では通常通り評定が記載されるが、B県では別の形式で記載される」といった違いが生じることがあります。
保護者の方がまず確認すべきなのは、お子さんが在籍する中学校の担任や特別支援コーディネーターに対して、「現在どのような教育課程で学んでいるか」「調査書にはどのように記載されるか」を直接尋ねることです。同じ「支援級在籍」であっても、状況はお子さん一人ひとりで異なりますので、一般論だけで判断しないことが大切です。
高校受験への具体的な影響と対策
支援級在籍が高校受験にどう影響するかは、志望する高校の種類によっても変わってきます。
公立高校を志望する場合、各都道府県の入試制度に基づいて扱われます。一部の都道府県では、障害のある受験生に対して「特別措置」(試験時間の延長、別室受験など)を設けているほか、調査書の評価についても個別の対応をしている場合があります。受験する都道府県の教育委員会が公表している入試要項を確認し、不明点があれば直接問い合わせることをおすすめします。
私立高校を志望する場合、各校が独自の入試方式を採用しているため、学校によって対応が大きく異なります。支援級在籍者に対して柔軟な選考を行っている学校もある一方、調査書の評定をそのまま重視する学校もあります。個別相談会や学校説明会で事前に確認しておくことが、ミスマッチを防ぐ上で非常に重要です。
また、通信制高校や単位制高校は、多様な背景を持つ生徒を受け入れる体制が整っていることが多く、内申点の比重が低い入試を採用しているところもあります。進学先の選択肢を広く持つことも、お子さんの可能性を広げることにつながります。
さらに、支援級に在籍しながらも一部の授業を通常級で受ける「交流及び共同学習」を積極的に活用することで、通常の評定が得られる科目を増やせる場合もあります。担任や特別支援コーディネーターと連携しながら、計画的に進めていくことをお勧めします。
まとめ
支援級在籍と内申点の関係は、一言では説明しきれない複雑さがあります。重要なのは、「どのような教育課程で学んでいるか」「在籍する都道府県・学校ではどのような評価方法が採られているか」という2点を早めに確認することです。
文部科学省は特別支援教育の充実を継続的に推進しており(文部科学省 初等中等教育 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/index.htm)、制度は少しずつ整備されていますが、地域差や学校差がまだ存在するのが現状です。まずは学校の担任・特別支援コーディネーターに相談し、志望する高校については個別に情報収集を行うことが最善の対策といえます。
また、内申点だけが高校進学の唯一の道ではありません。通信制高校・単位制高校・専修学校など、多様な学びの場が整ってきている点も忘れずにいてください。お子さんの強みや興味関心を大切にしながら、正確な情報をもとに進路を一緒に考えていただければ幸いです。
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995.htm
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/index.htm
■ 参考情報
【プロ講師個別指導塾の合格GET】
https://gokakuget.com/
