思春期の子供がゲームをやめない理由と勉強との両立法

思春期の子供がゲームをやめない理由と勉強との両立法

「またゲームしてる…」そのため息、毎日ついていませんか。思春期の子供とゲームをめぐるやりとりは、多くのご家庭で繰り返される悩みのひとつです。叱っても隠れてやる、取り上げたら口もきかなくなった、そんな経験をお持ちの保護者の方も少なくないでしょう。でも実は、ゲームを「悪者」にするだけでは解決しないことが、さまざまな調査から見えてきています。思春期の子供の心理とゲームの関係を正しく理解することが、勉強との両立への第一歩になるといえます。

目次

思春期の子供がゲームにのめり込む理由

まず知っておきたいのは、思春期の子供がゲームにはまるのは「意志が弱いから」ではないという点です。思春期とは、脳が急激に発達する時期であり、特に「報酬系」と呼ばれる快楽を感じる脳の仕組みが非常に活発になります。ゲームはこの報酬系を刺激するように設計されており、クリアしたときの達成感や、仲間と一緒に遊ぶ連帯感が、思春期の子供にとって強力な引力として働くのです。

内閣府が公表している「青少年のインターネット利用環境実態調査」(令和5年度)によると、中学生のスマートフォン・ゲーム機などによるインターネット利用時間は1日あたり平均で3時間を超えているという傾向があります(出典:内閣府「青少年のインターネット利用環境実態調査」令和5年度)。この数字からも、ゲームやネットが子供たちの日常生活に深く入り込んでいることがわかるでしょう。

さらに思春期特有の事情として、「親への反発」があります。「勉強しなさい」と言われると、むしろやりたくなくなる。これは心理学で「リアクタンス」と呼ばれる現象で、自分の自由を制限されたと感じると反発したくなる人間の本能的な反応です。つまり、頭ごなしに「ゲームをやめろ」と命令するほど、子供はゲームに逃げ込みやすくなる面があるといえます。

また、思春期は「仲間との関係」が自己評価の中心になりやすい時期でもあります。クラスメートと同じゲームの話題で盛り上がること、オンライン上でチームとして協力することは、子供にとって単なる娯楽を超えた「社会的なつながり」の場になっていることがあります。この点を理解せずにゲームだけを取り上げると、子供が居場所を失ったように感じてしまうこともあるでしょう。ゲームをやめさせることだけを目標にするのではなく、「なぜゲームが楽しいのか」を子供の側から理解しようとする姿勢が、関係改善の糸口になるでしょう。

ゲームが学力に与える影響はどのくらいか

「ゲームをすると成績が下がる」というイメージは広く持たれています。では実際のデータはどうでしょうか。

文部科学省が実施している「全国学力・学習状況調査」では、学習時間やゲーム・スマートフォンの利用時間と学力の関係が継続的に調査されています。同調査の結果では、ゲームなどのデジタル機器を長時間使用する児童生徒ほど学習時間が短くなる傾向があることが示されています(出典:文部科学省「全国学力・学習状況調査」)。ただし、これはあくまで「傾向」であり、ゲームをしていても学業成績が高い子供が一定数いることも同調査では確認されています。

重要なのは「時間の問題」と「習慣の問題」を区別することです。1日1時間のゲームが直接学力を下げるわけではなく、ゲームによって睡眠時間が削られたり、宿題を後回しにする習慣がついたりすることが、じわじわと学習に影響を与えるといえます。言い換えると、ゲームの「量」よりも「使い方と生活習慣への影響」が問題の本質なのです。

ここが重要なポイントです。「ゲームを完全に禁止すれば勉強する」という考え方は必ずしも正しくありません。ゲームを取り上げただけでは、空いた時間を別の娯楽で埋めてしまったり、親への不信感から家庭内の関係が悪化したりするケースも少なくないといわれています。一方で、何もルールを設けずに放置することも、学習時間の圧迫や睡眠不足につながるリスクがあるという見解もあります。どちらか一方に偏るのではなく、バランスのとれた関わり方を模索することが大切だといえるでしょう。

勉強とゲームを両立させるための具体的なアプローチ

では、どうすれば勉強とゲームを現実的に両立させられるのでしょうか。いくつかのアプローチをご紹介します。

まず有効なのは「先に勉強、後にゲーム」というルールを子供自身と一緒に決めることです。大切なのは、保護者の方が一方的にルールを押しつけるのではなく、子供が自分で考えて合意するプロセスを踏むことです。自分で決めたルールは守りやすく、破ったときの責任感も育まれます。

次に、「ゲームの時間を可視化する」方法も効果的といわれています。スマートフォンやゲーム機には利用時間を確認できる機能が備わっていることが多くあります。数値として時間を「見える化」することで、子供自身が自分のゲーム時間を客観的に把握しやすくなるでしょう。

また、「勉強の環境を整える」ことも欠かせません。ゲーム機やスマートフォンが手の届く場所にある状態で勉強するのは、大人でも難しいことです。勉強中はゲーム機を別の部屋に置く、充電器ごとリビングに出しておくなど、物理的な距離を置く工夫が役立つ場合があります。

さらに、ゲームの「完全排除」ではなく「計画的な許可」を意識してみてください。たとえば「宿題が終わったら1時間だけ」「テスト1週間前はゲームなし、テスト後は2時間OK」といった具体的なルール設定が、子供にとっての「見通し」になります。先が見えないと子供は不安になりますが、「終わりが決まっている」とわかれば、集中して取り組めることが多いといえます。ルールは一度決めたら終わりではなく、定期的に親子で見直すことで、成長に合わせた柔軟な対応ができるようになるでしょう。

保護者の方の関わり方が鍵を握る

思春期の子供に対して、親の言葉がけはとても繊細な問題です。「勉強しなさい」「ゲームやめなさい」という命令形の声かけが逆効果になりやすいのは前述の通りですが、では何も言わなければいいかというと、そうでもありません。

おすすめなのは「質問する」アプローチです。「そのゲーム、どんな内容なの?」「今どのくらいのレベルまでいったの?」と、子供の世界に興味を持って聞いてみてください。ゲームについて親が否定せずに話を聞いてくれると、子供は「自分のことをわかってもらえている」と感じ、親への信頼感が高まる傾向があります。その信頼感が、「じゃあ勉強も少し頑張ってみようか」という気持ちにつながることがあるのです。

もうひとつ重要なのは、「比べない」ことです。「お兄ちゃんは勉強していたのに」「〇〇くんはゲームもしながら成績がいい」といった比較は、子供の自己肯定感を傷つけ、勉強への意欲をかえって削いでしまうことがあります。思春期の子供は、他者からの評価に非常に敏感です。比較ではなく、「あなた自身の成長」に目を向けた声かけを心がけてみてください。

加えて、保護者の方自身がデジタル機器と上手に付き合っている姿を見せることも、子供への良いメッセージになるといわれています。「親もスマートフォンをずっと見ているのに、なぜ自分だけ」と感じさせないためにも、家庭全体でデジタル機器との向き合い方を考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

思春期の子供とゲームの問題は、「禁止するか、放置するか」の二択ではありません。ゲームにのめり込む背景には思春期特有の脳の発達や心理がある一方で、内閣府のデータが示すように長時間利用が学習時間を圧迫する傾向があることも事実です。大切なのは、子供の気持ちを理解しながら、一緒にルールをつくり、生活習慣として定着させていくことではないでしょうか。まずは今日、「そのゲームどんな感じ?」とお子さんに聞いてみることから始めてみてください。その一言が、対話のきっかけになるかもしれません。

https://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/net-jittai_child.html
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/index.html

■ 参考情報
【プロ講師個別指導塾の合格GET】
https://gokakuget.com/

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