「うちの子の通知表、以前と何かが違う気がする」と感じた保護者の方は多いのではないでしょうか。実は、中学校の通知表の評価方式は2021年度から大きく変わっています。以前は4つの観点で評価されていたものが3つに整理され、評価の考え方そのものが刷新されました。この変化の意味を正しく理解していないと、成績表の数字を見ても「なぜこの評価なのか」がわからないまま終わってしまいます。今回は、中学の通知表における「観点別評価」の仕組みを、一からていねいに解説していきます。
そもそも観点別評価とは何か
通知表を見ると、「5・4・3・2・1」という5段階の数字(評定)のほかに、「A・B・C」の記号が3列並んでいることに気づくはずです。この「A・B・C」の部分が「観点別評価」と呼ばれるものです。
つまり通知表には、大きく分けて2種類の情報が載っています。ひとつは「観点別評価」(A・B・C)、もうひとつは「評定」(5段階の数字)です。この2つは別物ですが、観点別評価が評定のもとになるという関係があります。
では、観点別評価の「3つの観点」とは何でしょうか。文部科学省が2020年度の新学習指導要領にあわせて示した評価の枠組みでは、以下の3観点に整理されています(出典:文部科学省『学習評価に関する参考資料』(2020年) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/index.htm)。
- 「知識・技能」:授業で学んだ知識を理解しているか、技術を身につけているかを評価します。テストの基礎問題の得点などがこれに反映されやすいといえます。
- 「思考・判断・表現」:学んだ知識を使って自分で考え、判断し、伝えることができるかを評価します。応用問題やレポート、授業中の発言などが評価材料になります。
- 「主体的に学習に取り組む態度」:自分から学ぼうとする姿勢や、粘り強く課題に取り組む様子を評価します。「やる気があるかどうか」だけでなく、「自分の学習を振り返って改善しようとしているか」という視点が重視されています。
以前の評価では「関心・意欲・態度」「思考・判断・表現」「技能」「知識・理解」という4観点でしたが、2021年度からこの3観点に統合・整理されました。
評価の「A・B・C」は何を意味するのか
3つの観点それぞれに「A・B・C」の評価がつきます。一般的には「A=十分に満足できる水準」「B=概ね満足できる水準」「C=努力を要する水準」と説明されています。
ここで多くの保護者の方が混乱するのが、「BとCではどれだけ違うのか」「Aが多ければ評定5になるのか」という点です。
まず重要なのは、観点別評価のA・B・Cは「その子がどこまでできているか」という絶対基準で判断されるという点です。クラス内の順位や他の生徒との比較ではなく、あらかじめ学校が設定した到達目標に対して「どの程度達成できているか」で判断されます。これを「目標に準拠した評価」(いわゆる絶対評価)といいます。
一方、5段階の「評定」は、観点別評価を総合して決められます。3観点の評価を組み合わせて評定を出す際の具体的な方法は学校によって異なりますが、おおむね「A・A・A」に近いほど評定5に近づき、「C」が含まれると評定2や1になりやすい傾向があります。ただし各観点に重みづけをする学校もあることから、同じ「B・B・A」でも評定が3になるか4になるかは、学校の評価基準次第といえます。
「主体的に学習に取り組む態度」の評価が難しい理由
保護者の方から「3番目の観点が何でCなのかわからない」というお声をよく聞きます。この観点は、他の2つに比べて評価の見えにくさがあります。
文部科学省の方針(『学習評価に関する参考資料』(2020年))では、この観点を「表面的な行動(大人しく座っているか、提出物を出しているかなど)だけで判断しない」と明示しています。学習への積極性や挙手の回数だけでなく、「自分の学習状況を振り返り、改善しようとする様子が見られるか」という点が評価の核心とされています。
具体的には、授業中のノートの使い方、自主学習ノートの内容、テスト後の振り返りシートの記述、単元テストで間違えた問題への取り組み方などが評価材料になるといわれています。
保護者の方がお子さんのCという評価に気づいたときは、「何をがんばっていないか」というよりも「自分の学習を自分で振り返る習慣があるか」という視点で担任の先生に確認してみると、具体的な改善のヒントを得やすいでしょう。
通知表の評価が高校入試にどう影響するか
「観点別評価のAやBが直接入試に使われるのか」という疑問を持つ保護者の方も多いです。
基本的に高校入試の内申点として使われるのは「評定」(5段階の数字)です。観点別評価のA・B・Cそのものが出願書類に記載されるケースは、現状ではごく一部にとどまるとされています。
しかし、観点別評価と評定は連動しているため、観点別評価を軽視してよいわけではありません。たとえば「知識・技能」のテスト点数は高いのに「主体的に学習に取り組む態度」がCのままだと、評定が伸び悩む場合があるからです。
また、総合型選抜や推薦入試の場面では、学校が作成する調査書(内申書)の中で「学習に対する姿勢」として観点別評価が参照されるケースも一部あるとされています。2026年以降の高校入試では調査書の活用方法が各都道府県で見直されている傾向もあり、今後ますます観点別評価そのものへの注目が高まる可能性があります。
まとめ
中学校の通知表における観点別評価は、2021年度から「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理されました(出典:文部科学省『学習評価に関する参考資料』(2020年) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/index.htm)。この評価は絶対評価(目標に準拠した評価)であり、クラス内の順位ではなく設定された到達目標への達成度で判断されます。
大切なのは、A・B・Cの記号を「できた・できなかった」の結果として受け取るだけでなく、「どの観点で何が足りないのか」を分析する材料として活用することです。特に「主体的に学習に取り組む態度」の観点は、授業での取り組み方や自己振り返りの習慣を変えることで改善できる部分も多いといえます。
2026年の夏休みは、通知表をお子さんと一緒に見直す良い機会です。どの観点が伸びていて、どこに課題があるかを確認し、2学期以降の学習計画に活かしてみてください。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/index.htm
https://www.mext.go.jp
■ 参考情報
【プロ講師個別指導塾の合格GET】
https://gokakuget.com/

